妊娠中の女性の体は、赤ちゃんが育つにつれて大きく変化し、さまざまな不快症状に見舞われます。
イライラや落ち込みといった精神的なものから、つわりなどの胃腸症状など、心身ともに影響を受けてしまうもの。
そこで今回は「妊娠中のアロマテラピー」というお題で、妊娠中の不快な症状を軽減、緩和するために役立つアロマレシピと使い方をご紹介します。
アロマテラピーを用いれば妊娠期間を快適に過ごせるが、注意も必要!
アロマテラピーは不安定になりがちな心と体のバランスを回復させ、妊娠期間を穏やかに過ごすための一助となります。
実際、分娩室や診察室にディフューザーで精油を噴霧したり、産前産後の心身のケアにアロマテラピーを取り入れている産婦人科は年々増加しています。
私自身も、出産した産院で産後のケアとしてアロマトリートメントのサービスをしていただき、とてもリラックスできた記憶があります。
とはいえ、雑誌や書籍などで妊婦はアロマテラピーを避けるように、または慎重に行うようにという注意書きを読んだことがある人も多いかと思います。
これは、精油の中には通経作用(月経を起こさせる働き)があるものや、ホルモンの活性を促すもの、神経刺激のあるものなどが多数あるためです。
また、精油の芳香成分は取り込まれることで胎盤を通じ、お腹の中にいる赤ちゃんにも吸収される可能性も。
そのため、妊娠中のアロマテラピーで最も注意を払わなくてはならないのはアロマ精油の選び方になります。
妊娠中にアロマテラピーを行う時は後に記載している妊娠中に用いる精油一覧リストを参照にし、妊娠時期に応じて精油を選んでください。
妊娠中でもアロマの吸入、芳香浴、塗布、マッサージ、アロマバスはOK
基本的には、吸入、芳香浴、塗布、マッサージやアロマバスなど、妊娠中であっても通常の成人と同じ方法でアロマテラピーを行うことができます。
特に「芳香浴」や「アロマバス」の場合は、皮膚や呼吸器から取り込まれる精油の量が少ないため、それほど神経質にならなくても問題ありません。
しかし、「マッサージ」や「塗布」に用いる場合は通常より少し薄めの、1%程度を目安にキャリアオイルで希釈しましょう。
グレープフルーツの芳香浴で妊娠中のつわりが軽くなった、気分の落ち込みが緩和されたなど、妊娠中であっても注意するべき点に気をつければアロマセラピーを行うことは可能です◎
妊娠中に使ってはいけない禁忌精油&使って良いアロマ精油一覧
妊娠中に起こりやすい不快症状への対処法をご紹介すると共に、妊娠中に使っていいアロマ精油、使ってはいけない禁止のアロマ精油を紹介していきます。
妊娠中にアロマセラピーを行うときは、下記に記載するリストを参照にし、妊娠時期に応じて精油を選びましょう。
*妊娠15週以降、妊娠期間中の全般にわたって使える精油
- オレンジスイート
- グレープフルーツ
- ティートリー
- ネロリ
- パルマローザ
- ベルガモット
- マンダリン
- ラベンダー
- レモン
- ローズウッド
*芳香浴なら妊娠15週以降から使用可能な精油
- イランイラン
- カモミールローマン
※芳香浴以外では使わない
*妊娠6ヶ月以降(安定期)から使用できる精油
- イランイラン
- カモミールジャーマン
- カモミールローマン
- サイプレス
- サンダルウッド
- ジュニパー
- ゼラニウム
- ニアウリ
- パチュリ
- ヘリクリサム
- マジョラム
- ユーカリグロブルス
- ユーカリラディアータ
- ラバンサラ
- ローズ
- ローズマリーカンファー
*妊娠中、全期間を通して使ってはいけない使用禁止のアロマ精油
- アニス
- アーモンド
- アンゼリカ
- オレガノカンファー
- キャロットシード
- クラリセージ
- クローブ
- シナモン
- ジャスミン
- スパイクラベンダー
- セージ
- タイムチモール
- タラゴン
- バジル
- フェンネル
- ラバンジン (ラベンダースーパー)
- レモングラス
- レモンユーカリ
妊娠中の『つわり』
つわりは妊娠2カ月ごろから始まり、妊娠に気づくきっかけにもなります。
症状の程度やつわりの期間には個人差があり、食事ができなくなったために入院して点滴を受けるほど重症になる人もいれば、それほど感じない人、まったく感じない人など様々います。
つわりの原因ははっきりと分かっていないものの、母体が赤ちゃんを異物としてとらえることによって起こる一種のアレルギー反応という説や、
妊娠後に子宮内で大量に分泌されるヒト絨毛性ゴナドトロンビンというホルモンが、脳の嘔吐中枢を刺激するという説などがあります。
妊娠中の『つわり』にオススメのアロマ精油
つわりに関しては期間も症状も個々によって大きな差がありますが、症状を少しでも軽減するためにアロマテラピーは役立ちます。
特にオススメの精油がグレープフルーツ
グレープフルーツは妊娠期間中も安全に使える代表的な精油の一つで、消化器の働きを促進させるリモネン(モノテルペン炭化水素類)という成分を多く含み、さわやかな香りで気分をリフレッシュします。
妊娠中の『つわり』に効果的なアロマレシピと使い方
【つわり】に効くアロマテラピーには芳香浴がオススメ。
【つわりの不快感がつよいとき】 | |
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使い方 | 芳香浴 |
アロマレシピ | グレープフルーツ…3~4滴 ハンカチorティッシュペーパー |
具体的なやり方はこちらをタップ
グレープフルーツの精油をティッシュペーパーやハンカチなどに落とし、それを部屋に置いて香りを拡散させて漂わせます。
※1日3回まで行えます
垂らす精油によっては、ハンカチにシミができることもありますので注意してください。
こんな方法でもOK
カップにお湯を張り、その中に精油を落とす拡散方法でも、アロマポットを使用した拡散方法でも香りを楽しめます。
妊娠中のマタニティブルーによる『イライラと落ち込み』
ホルモンバランスの変動で情緒が不安定になり、わけもなくイライラして腹が立つなど、妊娠中や産後に起こる精神不安を「マタニティーブルー」といいます。
妊娠期間中と産後はホルモンバランスが激しく変動するために、情緒も不安定になってしまうのです。
妊娠中は母親になる不安、産後に関しては慣れない育児の疲れやプレッシャーなどが引き金になっているようで、ストレスの影響もかなり大きくでます。
心身の疲労は症状を長引かせる要因になるので、パートナーに家事や育児の参加を頼むことも大切ですし、実家で体を休めると安心感から一気に元気になる人もいます。
ツライ期間は無理をせず、周囲の人に助けてもらうようにしましょう、それが自分のためでもあり周囲の人のためでもあり、子供のためにめなります。
妊娠中の精神不安(マタニティブルー)にオススメのアロマ精油
出産前後の気分の変動には、イランイランとグレープフルーツがおすすめです。
イランイランには鎮静作用や抗うつ作用のあるリナロール(モノテルペンアルコール類)が含まれ、
グレープフルーツには鎮静作用のあるリモネン(モノテルベン炭化水素類)が含まれているため心を穏やかにしてくれます。
マタニティブルーを緩和! 気分を穏やかにするアロマレシピと使い方
マタニティブルーもつわり同様で芳香浴がオススメ。
【マタニティブルーを緩和して気分を穏やかに】 | |
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使い方 | 芳香浴 |
アロマレシピ | イランイラン…2滴 グレープフルーツ…2滴 ハンカチorティッシュペーパー |
具体的なやり方はこちらをタップ
グレープフルーツの精油をティッシュペーパーやハンカチなどに落とし、それを部屋に置いて香りを拡散させて漂わせます。上記の精油は混ぜても1種類のみで行っても問題ありません。
※1日3回まで行えます
垂らす精油によっては、ハンカチにシミができることもありますので注意してください。
妊娠中のツライ『こむら返り』
アロママッサージで血流を促進して筋肉をほぐす
妊娠中は、寝ている時などにいきなりふくらはぎがキーンとつり、こむらがえりが起こることがあります。
「こむらがえり」は、ふくらはぎや足の裏の筋肉の過剰な痙攣によって生じるのですが、赤ちゃんが大きくなり体重がふえてくると、足腰に負担がかかり下半身の血流が悪くなります。
そのため、筋肉の血流も停滞してしまうのが原因でこむら返りが起こってしまいます。
また、体内に取り込んだ栄養は赤ちゃんのために大量に消費されるため、マグネシウムなどのミネラルが不足して起こることも。
妊娠中の『こむら返り』にオススメのアロマ精油
「こむら返り」にオススメのアロマ精油は、ラベンダー、 ゼラニウム、サイプレス、カモミールローマンです。
ラベンダーのリナロールやゼラニウムのシトロネロール(ともにモノテルペンアルコール類)は血流を促進して筋肉のこりをほぐし、
サイプレスのセドロール(セスキテルペンアルコール類)は血液のうっ滞を解消します。
また、カモミールローマンのアンゼリカ酸イソブチル(エステル類) などには鎮静作用があり、筋肉の緊張をほぐします。
これらの精油でアロマテラピーを続けるとともに、足を冷やさないように気をつけることで、つらいこむらがえりを防ぐことができます。
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妊娠中のこむら返りを防ぐアロマレシピと使い方
妊娠中の「こむら返り」を解消、予防するためにはアロママッサージがオススメ。
症状 | 妊娠中のこむら返り予防 |
使い方 | アロママッサージ |
アロマレシピ | ゼラニウム…1滴 ラベンダー…2滴 サイプレス…5滴 ホホバオイル・・・50ml |
具体的なやり方はこちらをタップ
ビーカーにホホバオイルを入れ、各種精油類を加えてよく混ぜる。
精油をブレンドしたマッサージオイルを脚に塗り、ゆっくりとすり込むようにしながら筋肉を優しくマッサージしていきます。
5~10分ほどを目安にし、心地よいと感じる程度行います。
症状 | 妊娠中のこむら返り予防 |
使い方 | アロママッサージ |
アロマレシピ | カモミールローマン…3滴 サイプレス…5滴 ゼラニウム…1滴 ホホバオイル・・・50ml |
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ビーカーにホホバオイルを入れ、各種精油類を加えてよく混ぜる。
精油をブレンドしたマッサージオイルを脚に塗り、ゆっくりとすり込むようにしながら筋肉を優しくマッサージしていきます。
5~10分ほどを目安にし、心地よいと感じる程度行います。
消えにくい妊娠線の予防
妊娠が進み、おなかや胸が大きくなるにつれ、お腹や太ももなどには妊娠線ができやすくなります。
急激に引っ張られた皮下組織はそれに対応できず、弾性線維が断裂して割れ目のような線ができてしまうのが妊娠線です。
出産後、徐々に目立たなくはなるものの、一度できた線は完全には消えないため、妊娠8カ月前後を目安に保湿をし、弾力性を保つアロママッサージで予防を心がけましょう。
妊娠線の予防に役立つオススメのアロマ精油
妊娠線よ予防に効果を発揮する精油は、ラベンダー、カモミールローマン、ネロリ、ローズなど多数あります。
ラベンダーに含まれるテルピネン4・オールと、ネロリに含まれるa・テルビネン(すべてモノテル ベン炭化水素類)には、皮膚細胞の成長を促す働きがあります。
加えて、カモミールローマンには抗炎症作用のあるアンゼリカ酸イソブチル (エステル類)、ローズには皮膚のトラブルを解消するゲラニオール(モノテルペンアルコール類)が含まれており、皮膚の弾力性を高めてくれます。
妊娠線を予防するアロマレシピと使い方
症状 | 妊娠中のこむら返り予防 |
使い方 | アロママッサージ |
アロマレシピ | ラベンダー…3滴 カモミールローマン…2滴 ネロリ…3滴 ローズ…2滴 ホホバオイル・・・50ml |
具体的なやり方はこちらをタップ
ビーカーにホホバオイルを入れ、各種精油類を加えてよく混ぜる。
精油をブレンドしたマッサージオイルをお腹や太もものどに塗り、ゆっくりとすり込むようにしながら筋肉を優しくマッサージしていきます。
5~10分ほどを目安にし、心地よいと感じる程度行います。
症状 | 妊娠中のこむら返り予防 |
使い方 | アロママッサージ |
アロマレシピ | ラベンダー…3滴 ネロリ(ローズでも可)…3滴 ベルガモット…2滴 ホホバオイル・・・50ml |
具体的なやり方はこちらをタップ
ビーカーにホホバオイルを入れ、各種精油類を加えてよく混ぜる。
精油をブレンドしたマッサージオイルをお腹や太もものどに塗り、ゆっくりとすり込むようにしながら筋肉を優しくマッサージしていきます。
5~10分ほどを目安にし、心地よいと感じる程度行います。
症状 | 妊娠中のこむら返り予防 |
使い方 | アロママッサージ |
アロマレシピ | ラベンダー…3滴 プチグレン…4滴 ローズ…2滴 ホホバオイル・・・50ml |
具体的なやり方はこちらをタップ
ビーカーにホホバオイルを入れ、各種精油類を加えてよく混ぜる。
精油をブレンドしたマッサージオイルをお腹や太もものどに塗り、ゆっくりとすり込むようにしながら筋肉を優しくマッサージしていきます。
5~10分ほどを目安にし、心地よいと感じる程度行います。
※アロマテラピーは、植物から芳香成分を抽出した精油を使って心と身体のバランスを整えるためのリラックス法であり、医療行為ではありません。
あくまでも日々のセルフケアを目的として使ってください。
妊娠中の方、重い病気の方、慢性的な症状のある方、体調が思わしくないと思ったら、まずは医療機関へ受診医師の診断を受けましょう。
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