アロマテラピーといえばフランスやイギリスなど海外を想起させ、精油の元になる植物も海外産のものも多く出回っていますが、
日本の風土で生まれた香りの「和精油」も存在し、日本にしかない固有種のアロマ精油も多数あります。
というわけで、今回は日本人の感性にもピッタリの「和精油」を18種類ほどご紹介していきます。
一覧で見やすくもしていますので、和精油を購入する際や使用する際、和精油の事を知りはじめる手がかりとして、今回の記事を参考にしてもらえたら幸いです。
日本のアロマ「和精油」とは?
和精油とは、日本の風土で育った植物から抽出された精油(エッセンシャルオイル)のことで、
日本固有種であるヒノキやスギ、日本料理の名脇役として欠かすことができないユズなどの精油は、和精油の中でも有名で代表格として挙げられます。
日本各地の風土で育った植物の香りは、日本人からすれば馴染み深く、香りを嗅ぐだけで安心感を覚え、どこか懐かしい気持ちにさせてくれることも。
また、和精油の産業では「自然をムダにせず大切にする」という日本人の自然に対する想いがたっぷり詰め込まれたもので、
間伐によって出てしまう廃木材や、未利用の枝葉を有効活用し、国内の林業の活性化や環境保全にも役立っているのです。
そんな和精油ですが、ヒノキやユズ、クスノキやスギ、月桃などなど、精油の種類がたくさんあるため、下記にて和精油の種類一覧と、それぞれの和精油を個別で紹介していきます。
【柑橘系】和精油の種類一覧表 (効果、主な産地、主成分、抽出方法etc)
精油名 | ユズ(柚子) | 金柑(きんかん) | カボス(香母酢) | 温州みかん |
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学名 | Citrus junos | Fortunella japonica | Citrus sphaerocarpa | Citrus unshiu |
科名 | ミカン科 | ミカン科 | ミカン科 | ミカン科 |
産地 | 高知、愛媛 | 宮崎、高知、他 | 大分 | 和歌山、愛媛、静岡など |
抽出部位 | 果皮 | 果皮 | 果皮 | 果皮 |
抽出方法 | 圧搾法、 超音波印加圧水蒸気蒸留法 | 水蒸気蒸留法 | 水蒸気蒸留法 | 圧搾法、水蒸気蒸留法 |
成分 | リモネン、リナロール、 γ−テルピネン、β−フェランドレン、 β−ミルセン…など(圧搾法) | 1-8シネオール、リモネン、 カンフェン、 α-ピネンなど | リモネン、βミルセン、 γテルピネン、βファルネセン、 αピネン、βピネンなど | リモネン、y-テルピネン、 a-ピネン、β-ミルセン、 リナロールなど(圧搾法) |
主な効能 | 血行促進、角質軟化作用、 消化促進、血管拡張 | リフレッシュ、集中力アップ、 鎮静、抗炎症、消化促進、 収れん、循環促進、 冷えやむくみ改善など | 血流促進、ストレス解消、脳疲労、 ボケ防止、むくみ、冷え回復、 消化機能作用、唾液分泌促進、 抗菌・抗ウイルス、鎮痙作用など | 抗酸化作用、循環促進、 去痰作用、消化促進 |
香り解説 | 詳しい解説 | 詳しい解説 | 詳しい解説 | 詳しい解説 |
精油商品 | 柚子精油 商品 | 金柑精油 商品 | すだち精油 商品 | 温州ミカン精油 商品 |
【樹木系】和精油の種類一覧表 (効果、主な産地、主成分、抽出方法etc)
精油名 | ヒノキ(檜) | トドマツ(北海道モミ) | シソ(紫蘇) | クスノキ(楠) | ハッカ(薄荷) | サンショウ(山椒) | 高野槙(コウヤマキ) |
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学名 | Chamaecyparis obtusa | Abies sachalinensis | Perilla frutescens | Cinnamomum camphora | Mentha arvensis | Zanthoxylum piperi- | Sciadopitys verticillata |
科名 | ヒノキ科 | マツ科 | シソ科 | クスノキ科 | シソ科 | ミカン科 | コウヤマキ科 |
産地 | 奈良 | 北海道 | 北海道、他 | 佐賀、他 | 北海道 | 岐阜 | 和歌山、他 |
抽出部位 | 木部、枝葉 | 枝葉 | 葉 | 木部、枝葉 | 地上部 | 果実 | 枝葉 |
抽出方法 | 水蒸気蒸留法 | 水蒸気蒸留法 | 水蒸気蒸留法 | 水蒸気蒸留法 | 水蒸気蒸留法 | 水蒸気蒸留法 | 水蒸気蒸留法 |
成分 | a-ピネン、a-カジノール、 δ-カジノールなど(木部) | 酢酸ボルニル、カンフェン、 a-ピネン、β-フェランドレンなど | l-ペリラアルデヒド、ベンズアルデヒド、 3- オクタノール、リナロールなど | d- カンファー、a -ピネン、カンフェン、 リモネン、1,8-シネオールなど | l-メントール、 メントン、 イソメントン、リモネン、a-ピネンなど | リモネン、シトロ ネラール、β-フェランドレン、 リナロール、1,8-シネオール など | a -ピネン、リモネン、ミルセン、 テルピネン‐4ーオール、カンフェン、リナロール |
主な効能 | 鎮静、神経強壮、抗ウイルス、抗菌、抗炎症、血行促進 | 血圧降下、血行促進、抗菌、抗炎症、鎮静、精神強壮、消臭、空気清浄 | 抗菌、殺菌、鎮静 | 去痰、うっ滞徐、血行促進、 鎮痙、抗菌、抗ウイルス、 鎮静、鎮痛、精神強壮 | 鎮痛、去痰、抗カタル、血圧上昇、消化促進、抗菌、抗真菌、抗炎症、頭脳明晰化、精神高揚 | 去痰、消化促進、鎮痙、抗菌、抗真菌、抗酸化、血行促進、昆虫忌避 | 精神安定、鎮静、安眠、抗菌 |
香り解説 | 詳しい解説 | 詳しい解説 | 詳しい解説 | 詳しい解説 | 詳しい解説 | 詳しい解説 | 詳しい解説 |
精油商品 | ヒノキ精油 商品 | トドマツ精油 商品 | シソ精油 商品 | クスノキ精油 商品 | 薄荷精油 商品 | サンショウ精油 商品 | 高野槙精油 商品 |
精油名 | 月桃(ゲットウ) | 青森ヒバ(檜葉) | ホウショウ(芳樟) | クロモジ(黒文字) | スギ(杉) | ショウガ(生姜) |
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学名 | Alpinia zerumbet | Abies sachalinensis | Cinnamomum campho- ra Subvar. form. var. occid, Subvar. linaloola | Lindera umbellata | Cryptomeria japonica | Zingiber officinale |
科名 | ショウガ科 | ヒノキ科 | クスノキ科 | クスノキ科 | スギ科 | ショウガ科 |
産地 | 沖縄、鹿児島 | 青森 | 和歌山、高知、鹿児島 | 本州 | 日本全国 | 高知、熊本、和歌山 |
抽出部位 | 葉 | 木部 | 木部、枝葉 | 枝葉 | 枝葉、木部 | 根茎 |
抽出方法 | 水蒸気蒸留法 | 水蒸気蒸留法 | 水蒸気蒸留法 | 水蒸気蒸留法 | 水蒸気蒸留法 | 水蒸気蒸留法 |
成分 | ミルセン、リモネン、オシメン、 リナロール、 テルビノレンなど | a-ツヤプリシン、ツヨプセン、ドラブリン B-ツヤプリシン(ヒノキチオール)など | リナロール、1,8-シネオール、 ネロリドール、サビネンなど | リモネン、1,8-シネオール、 リナロール、カンフェンなど | a・ピネン、サビネン、リモネン、 y-テルピネンなど (枝葉部) | ジンギベレン、ay-クルクメン、 β-セスキフェランドレン、β-ビサボレンなど |
主な効能 | 去痰、鎮痛、抗菌、抗真菌、抗酸化、収れん、虫除け、抗不安、消臭、ダニよけ | うっ滞除去、鎮咳、抗菌、抗真菌、 抗ウイルス、収れん、鎮静、虫よけ | 去痰、抗カタル、鎮痛、抗菌、 抗真菌、抗炎症、鎮静 | 鎮痛、消化促進、抗炎症、 抗ウイルス、抗菌、抗真菌、 うっ滞除去、血行促進、鎮静 | 去痰、鎮痛、抗酸化、抗菌、抗真菌、血行促進、鎮静、空気清浄、消臭 | 消化促進、駆風、健胃、食欲増進、鎮痙攣、去痰、緩下、蠕動運動促進、強壮 |
香り解説 | 詳しい解説 | 詳しい解説 | 詳しい解説 | 詳しい解説 | 詳しい解説 | 詳しい解説 |
精油商品 | 月桃精油 商品 | 青森ヒバ精油 商品 | ホウショウ精油 商品 | クロモジ精油 商品 | スギ精油 商品 | ショウガ精油 商品 |
クロモジ、ヒノキ、ユズ…「和精油」一八種類の個別詳細
ここからは1つ1つの精油を詳しく解説していきます
ユズ(柚子)
学名:Citrus junos
科名:ミカン科
産地:高知、愛媛
抽出部位:果皮
抽出方法:圧搾法、超音波印加圧水蒸気蒸留法
主成分:リモネン、リナロール、γ−テルピネン、β−フェランドレン、β−ミルセン…など(圧搾法)
精油の特徴
爽快な香気は、日本人にはなじみ深いもの。
圧搾法が一般的ですが、水蒸気蒸留法で抽出するとまた違った印象の香りにもなります。
酸味が強く、日本料理でも香りづけなどに愛用されてきたユズは、中国揚子江上流が原産。
日本には飛鳥時代、または奈良時代に朝鮮半島を経て 伝わったとされ、現在では高知県、徳島県が主な産地です。
ユズの皮に含まれるリモネンには血行促進や身体を温める作用があり江戸時代には冬至にユズ湯に入る習慣が庶民の間で拡散。
また、ユズ果実の酸味は胃腸の停滞感の改善も期待できるといわれています。
ヒノキ(檜)
学名:Chamaecyparis obtusa
科名:ヒノキ科
産地:奈良
抽出部位:木部、枝葉
抽出方法:水蒸気蒸留法
主成分:a-ピネン、a-カジノール、δ-カジノールなど(木部)
精油の特徴
香りのよさを誇る日本特産の樹木で、飛騨や吉野など、日本各地に名産地があるヒノキ。
昔、火をおこす火切り板として使用されていたことから、『火の木』 が転じてヒノキになったといわれています。
材質が緻密で柔らかく、虫害や湿気にも強いことから 古くから建築用材として活用され、歴史的な建造物としては法隆寺の五重塔や金堂が知られています。
ヒノキ風呂に代表されるように、樹木そのものも 日本人にとっては格別にほっとできる香り。
【香りの特徴】ウッディで、樟脳のようなスパイシーな香りがあり、特に準逆は香気に優れ、石けん香料、芳香剤などにも使用されている。
クロモジ(黒文字)
学名:Lindera umbellata
科名:クスノキ科
産地:本州
抽出部位:枝葉
抽出方法:水蒸気蒸留法
主成分:リモネン、1,8-シネオール、リナロール、カンフェンなど
精油の特徴
香料や民間医療に活用されてきたクロモジは、本州をはじめ、広い地域で自生している植物。
枝葉には芳香があり、その香りは口内を浄めるとされ、小枝からは楊枝が作られてきました。
戦前は伊豆を中心にクロモジ油が採油され、石けん や香粧品の香料にも利用。
また、クロモジの葉を焼酎に漬けて、湿布のよう に使うことや、枝葉以外もさまざまな用途があり、根皮は脚気時に内服するなど、人々の生活に幅広く活用されてきました。
【香りの特徴】クロモジの精油成分は個体や生育する地域、季節によって香りや色が異なるものの、全体的には落ち着きのある甘い芳香。
ホウショウ(芳樟)
学名:Cinnamomum campho- ra Subvar. form. var. occid, Subvar. linaloola
科名:クスノキ科
産地:和歌山、高知、鹿児島
抽出部位:枝葉、木部
抽出方法:水蒸気蒸留法
主成分:リナロール、1,8-シネオール、ネロリドール、サビネンなど
精油の特徴
高級香料としても使われる芳香を持つホウショウは「芳樟」とも書き、化粧品の香料などに用いられる成分、リナロールを多く含んでいます。
クスノキの亜変種で見た目はクスノキとよく似ていますが、今や花、果実は小ぶり。
また、クスノキと違い、樟脳の含有量が少ないことも特徴といえます。
台湾や中国南部が原産で、戦後に日本に伝わり、和歌山県や高知県、鹿児島県などで栽培され、精油の生産も盛んになっていったと考えられています。
【 香りの特徴】ホウショウの精油は淡黄色をしていて芳油とも呼ばれています。
甘くてさわやかなフローラル・ウッディの香り。
月桃(ゲットウ)
学名:Alpinia zerumbet
科名:ショウガ科
産地:沖縄、鹿児島
抽出部位:葉
抽出方法:水蒸気蒸留法
主成分:ミルセン、リモネン、オシメン、リナロール、 テルビノレンなど
精油の特徴
沖縄では生活に欠かせない存在台湾から伝来した植物で、月桃は沖縄県や九州など暖かい地域に自生し、
沖縄では台湾の生薬名「砂仁」から「サンニン」と呼ばれ親しまれています。
葉には抗菌作用があって食物の保存などにも利用さ れ、厄払いや健康を祈願して月桃の葉で巻いた餅(ムーチー)を食べる習慣があります。
月桃の種子は健胃作用や整腸作用に期待でき、漢方としても利用され、香り豊かな葉を煮出した化粧品は日差しの強い沖縄では重宝されています。
【香りの特徴】月桃特有の香気を含んだ香りで、色は薄褐色。
沖縄県内でも、産地の島によって香りや成分に違いがあるといわれています。
青森ヒバ(檜葉)
学名:Abies sachalinensis
科名:ヒノキ科
産地:青森
抽出部位:木部
抽出方法:水蒸気蒸留法
主成分:a-ツヤプリシン、ツヨプセン、ドラブリンB-ツヤプリシン(ヒノキチオール)など
精油の特徴
歴史ある建築物を支えてきた名木の青森ヒバは、北方型アスナロとも呼ばれ、主に青森県に多く存在。
青森のほかには北海道でも見られる樹木です。
耐久性があることから、古来、建築材料として重宝され、ヒバ材の新築には蚊が3年間も近寄らないといわれるほどで、青森ヒバで造られた建築物には弘前城、中尊寺金色堂などが挙げられます。
また、ヒバ精油に含まれる成分ヒノキチオ ールは抗菌性に優れているため、薬剤のほかには養毛剤、 歯磨きなどにも使用されてきました。
【香りの特徴】木部から得られる精油は黄色~褐色の粘性のある液体で、ウッディかつフレッシュな香りをしている。
クスノキ(楠)
学名:Cinnamomum camphora
科名:クスノキ科
産地:佐賀、他
抽出部位:木部、枝葉
抽出方法:水蒸気蒸留法
主成分:d- カンファー、a -ピネン、カンフェン、リモネン、1,8-シネオールなど
精油の特徴
日本に古くから存在しているクスノキは樟脳から神木まで多岐にわたり愛されてきた植物で、徳島県では約2万5000年前のクスノキ材の遺構が発見されています。
『古事記』などにも記述が見られ、神木、天然記 念物になっている大木が多いのも特徴。
近年は公害に強い性質を利用し、街路樹としても植栽されています。
クスノキから得られる結晶である樟脳は、防虫や消臭芳香以外にも医薬品として重宝され、 筋肉痛の緩和や塗り薬としても、深く日本人の生活と関わってきました。
【香りの特徴】衣類の防虫などに用いられる樟脳は、刺激的で強い香りが特徴ですが、精油はそれよりもすっとさわやかな香り。
北海道モミ(トドマツ)
学名:Abies sachalinensis
科名:マツ科
産地:北海道
抽出部位:枝葉
抽出方法:水蒸気蒸留法
主成分:酢酸ボルニル、カンフェン、a-ピネン、β-フェランドレンなど
精油の特徴
日本では北海道のみに生息しているモミはトドマツのことで、サハリンを原産とする北海道ならではのモミの木です(本州に分布するモミとは違う樹種)。
クリスマスツリーとして親しみを感じる人も多く、極寒の冬でもみずみずしい葉を茂らせることから生命力の象徴とされることも。
また、動物などに樹皮を傷つけられると樹脂を出 して自ら殺菌、保護するため、アイヌの人々は治 療目的で松脂を用いたともいわれています。
【精油の特徴】ほんのり柑橘系を思わせるさわやかな森林の香りで、その清涼感から、呼吸器まわりのケアや風邪予防に使われることもある。
カボス(香母酢)
学名:Citrus sphaerocarpa
科名:ミカン科
産地:大分
抽出部位:果皮
抽出方法:圧搾法、水蒸気蒸留法
主成分:リモネン、βミルセン、γテルピネン、βファルネセン、αピネン、βピネンなど
精油の特徴
薬味や料理の香りづけとして人気の柑橘類。
主産地は大分県で、果皮が黄色く熟す前の深緑色のうちに収穫します。
果汁も香りも酸味が豊か。
シソ(紫蘇)
学名:Perilla frutescens
科名:シソ科
産地:北海道
抽出部位:葉
抽出方法:水蒸気蒸留法
主成分:l-ペリラアルデヒド、ベンズアルデヒド、3- オクタノール、リナロールなど
精油の特徴
シソは全国で栽培されていますが、精油生産は北海道が有名。落ち込んだ気持ちまですっとするような、さわやかな香り。
和食に欠かせないおなじみのハーブでおるシソは、中国やヒマラヤから渡来し、縄文遺跡から種子が見つかるほど古い歴史を持ちます。
香味野菜としても栽培され、和を代表するハーブのひとつ。自主種、栽培種ともに日本全土に分布。
主な品種にはアカジン、フオジンなどが挙げられます。特にアオジソは大葉とも呼ばれ、香りがよいのが特徴。
香りの正体であるペリラアルデヒドという成分には優れた抗菌作用があり、食中毒予防にも活用されています。
温州みかん(ウンシュウみかん)
学名:Citrus unshiu
科名:ミカン科
産地:和歌山、愛媛、静岡
抽出部位:果皮
抽出方法:圧搾法、水蒸気蒸留法
主成分:リモネン、y-テルピネン、a-ピネン、β-ミルセン、リナロールなど(圧搾法)
精油の特徴
果実を食べたときのような、素朴でやさしい香りが特徴。甘酸っぱいフルーティさのなかに、ほんのり苦みを含みます。
ほっとできる温かみのある香りで、一般的にミカンと呼ばれるのは「温州ミカン」で、 栽培品種やブランドは多岐にわたります。
日本原産で、中国から伝わった柑橘が突然変異して生まれたと推察されます。
美味なことから江戸時代に栽培が進み、現在の産地 は温暖な和歌山県、愛媛県、静岡県が有名です。
漢方では未熟なものの果皮を干したものを青皮、熟したものの果皮を干したものを陳皮と呼び、陳皮は七味唐辛子の材料としても用いられています。
フロクマリン精油を含まず、皮膚に穏やかで光感作の心配なし。
ハッカ(薄荷)
学名:Mentha arvensis
科名:シソ科
産地:北海道
抽出部位:地上部
抽出方法:水蒸気蒸留法
主成分:l-メントール、 メントン、イソメントン、リモネン、a-ピネンなど
精油の特徴
ハッカの精油は、ペパーミントに比べて清涼感が穏やかで、さわやかさの中に甘さも併せ持った、 心落ち着く香りです。
日本ならではのハッカの香りは、和精油のなかでも独特の清涼感で人気を集め、江戸時代には近畿地方を中心に薬草として栽培されていました。
疲れ目を癒やす薬として使われることもあったそうです。その後、ハッカの成分であるメントールの需要が高まり、北海道で大規模な生産がスタート。
明治時代にはメントールの世界シェアの約7割を占めていたほどです。 北見市産が有名ですが、現在は滝上町でも多く栽培されています。
スギ(杉)
学名:Cryptomeria japonica
科名:スギ科
産地:日本全国
抽出部位:枝葉、木部
抽出方法:水蒸気蒸留法
主成分:a・ピネン、サビネン、リモネン、y-テルピネンなど (枝葉部)
精油の特徴
軽やかな森林の香りは、木立の中にいるような気分にさせてくれます。 空気の浄化作用があるともいわれ、ニオイ対策にも最適。
日本人の生活に寄り添ってきた木であるスギは、日本特産の植物で全国に分布しています。
真っ直ぐ育ち、硬さも十分なことから、昔から建築や工芸の材料として利用されてきました。
また、醤油や味噌を作る樽に使 われたり、間伐材は響の材料とされているほか、スギ材のアルコール抽出物を木香として日本酒の香りづけに使うなど、私たちの生活に密着した存在といえるでしょう。
枝のみならず葉も粉にして、線香や抹香の原料に活用されています。
サンショウ(山椒)
学名:Zanthoxylum piperi-
科名:ミカン科
産地:岐阜
抽出部位:果実
抽出方法:水蒸気蒸留法
主成分:リモネン、シトロ ネラール、β-フェランドレン、リナロール、1,8-シネオール など
精油の特徴
果実から抽出された精油は、粉ザンショウに比べてスパイシーで、ミカン科ならではの柑橘の香りもほんのり漂います。
全国に自生するサンショウは芳潤な香りで愛される香辛料であり日本原産。
縄文時代の土器とともに実が発見されたほど古くから 食用として愛されてきました。
新芽や若葉は香りが強く、日本料理に重宝され、秋ごろに熟した果実から種子を除いて粉末にしたものが粉ザンショウに用いられています。
独特の香りと風味を持ち、ウナギの蒲焼きの香辛料として有名。
漢方にも使われ、食欲増進や消化を助けるなど、消化器系のサポートとして活躍してきました。
ショウガ(生姜)
学名:Zingiber officinale
科名:ショウガ科
産地:高知、熊本、和歌山
抽出部位:根茎
抽出方法:水蒸気蒸留法
主成分:ジンギベレン、ay-クルクメン、β-セスキフェランドレン、β-ビサボレンなど
精油の特徴
精油作りは高知が有名で、香りはピリッとしたスパイシーさと深い甘さが両立していて、心身ともに温めてくれます。
生薬、民間薬など多様な使い道があり、身体を温める作用で知られるショウガは、熱帯アジアが原産。
3世紀以降に渡来したと推察され、高知県や熊本県、和歌山県など、温暖地で主に栽培されています。
薬味やお茶といった食用以外に、新陳代謝を盛んにすることから、古くより漢方薬をはじめ風邪薬や胃腸薬 にも配合されてきました。
また、消化器系の働きを良くしたり、吐き気を緩和する作用から乗り物酔いや妊娠時のつわり対策にも利用されています。
金柑(きんかん)
学名:Fortunella japonica
科名:ミカン科
産地:高知、宮崎
抽出部位:果皮
抽出方法:圧搾法、水蒸気蒸留法
主成分:1-8シネオール、リモネン、カンフェン、 α-ピネンなど
精油の特徴
キンカンの果実は果皮が甘いのが特徴で、香りは甘さと苦みが感じられる、シトラス調のみずみずしく爽やかな香りが拡がるのが特徴。
明るい気分にしてくれるリフレッシュ効果と、神経を穏やかに整えるリラックス効果をどちらも兼ね備えているため、精神を整えたい時にピッタリの精油。
高野槙(コウヤマキ)
学名:Citrus junos
科名:コウヤマキ科
産地:和歌山
抽出部位:枝葉
抽出方法:水蒸気蒸留法
主成分:a -ピネン、リモネン、ミルセン、テルピネン‐4ーオール、カンフェン、リナロール
精油の特徴
高野槙(コウヤマキ)は東北から九州にかけて広く自生し、とくに和歌山県・高野山では神事に欠かすことができない霊木として尊重されています。
採油量が少なく、さわやかさと深みを併せ持つ香りが特徴。
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