「病は気から」という有名なことわざがあるように、わたしたちの身体の健康は心の在り方と切っても切り離すことができません。
身体に不調が起これば気持ちも弱り、気が病めば身体にも不調をきたしてしまいます。
ストレスからくるあらゆる不調に対してアロマテラピーは特段有効に働くため、
今回は「ストレスとアロマテラピー」というお題で、
- ストレスが不調をもたらす簡単なメカニズム
- アロマテラピーがストレス対策に有効な理由
- ストレスで感じる”感情別“に合わせたオススメアロマ精油一覧
上記のことについてお伝えしていきます。
ストレスが不調をもたらす仕組みを知ることでどんな精油を使うべきかも見えてくるので、ぜひ今回の記事も最後まで読んで参考にしてみてください。
ストレスが不調をもたらすメカニズム(かんたんに)
身体に不調があるのに、検査には異常は出ないという経験がある人は多くいると思いますが、
それは、何らかのストレスによって自律神経が乱れて「不定愁訴」という原因の分かりづらい不調が現れた状態で、
ひどい場合には自律神経失調症が疑われます。
ストレスからくる原因の分からない不調には「自律神経の乱れ」や「ホルモンバランスの乱れ」が深く関わっているのです。
自律神経は交感神経と副交感神経の2つから成る
自律神経は身体の働きを無意識に調整している神経で、交感神経と副交感神経の2つの神経からなります。
交感神経
「交感神経」は心臓の拍動をふやし、血管を収縮させて血圧を上げることで活動に適した体調を作る自律神経であり、主に活動時に優位になります。
副交感神経
一方の「副交感神経」は心身をリラックスさせる自律神経で、食事時や休息時には優位になり、心臓の拍動をゆるやかにし、血管を拡張して血流を促し、食物の消化を促します。
交感神経と副交感神経はシーソーの関係でバランスをとりあいながら働き、一方が優位なときはもう一方の働きはおさえられるようになっています。
朝にシャキッと目が覚めるのは交感神経が優位になったからであり、夜眠くなるのは副交感神経が優位になり、交感神経が休んでいるからです。
自律神経の乱れをきっかけに様々な不調が起こる
自律神経の働きを支配しているのは脳の視床下部ですが、視床下部はストレスの影響を受けやすいため、
心配事や過労などの何らかのストレスがかかると、そのストレス刺激が影響して自律神経のコントロールが乱れてしまいます。
その結果、交感神経が緊張した状態になり、食欲がない、眠れない、イライラする、下痢や便秘が続く、頭痛などの不快な症状が生じ、心身ともに不調に陥るのです。
自律神経と共に内分泌系(ホルモンの分泌)も乱れる
また、自律神経を支配する視床下部は自律神経系だけでなく内分泌系も司っているため、自律神経の乱れはホルモン分泌の乱れも招いてしまうのです。
ザックリとした流れを解説するなら、、、
何らかのストレスによって交感神経を過剰に働かせ、その刺激のよって副腎皮質からコルチゾールなどのホルモンを分泌させ、
闘争逃走反応として蓄えられていた緊急用のエネルギーは放出されてしまい、血液は皮膚から引き上げられてこれから使う筋肉へと集まります。
また、呼吸数を変化させて心拍や血糖値の上昇を促したり、瞳孔の拡散をして周りを見渡す力を発揮するなど、闘うか逃げるか!?
という防衛反応として多岐に渡って身体に変化を及ぼすのです。
ストレス(闘争逃走反応)の長期化が無気力状態をもたらす
無理に引っ張り出されたエネルギーは危機と闘うか逃げるために使われるので、危機が去ると通常の状態に戻りますが、
長期に渡って我慢するばかりで闘うことも逃げることもせずにいると緊張状態がそのまま続いてしまうため、
ストレスの影響が蓄積して自分の意識にインプットされ、心と身体は緊張を緩める事が難しくなってくるのです。
そして、軽度であっても緊張状態が続き過ぎると、ついには“副腎も疲労”してしまい、
- 血糖値を高めるコルチゾールが分泌されにくくなって低血糖症状に陥る
- 体力気力の低下によって心は不安定になる
- 闘争逃走反応を出したくても出ない
そして、最終的には無気力になってしまうのです。
ストレス反応の一覧と順番
ストレスによって出る反応の順番は有名で、警告期、抵抗期、疲憊期の3つがありますが、分かりやすく例えるなら下記のように反応が進んでいきます。
- イライラする
- 疲労を感じる
- 不安感に襲われる
- 抑うつ状態(無気力)
という流れで、実はイライラできる間がいちばん対処しやすいのです。
しかし、ストレスが酷くなると抑うつ傾向となってしまうため、実は最後の無気力になることがいちばん恐ろしい状態と考えられます。
ストレスの影響による典型的な症状や嗜好癖の一覧
肉体的症状 | ストレスで誘発する 感情 | 精神的な影響 | ストレスによる 嗜好 |
---|---|---|---|
心拍数の増加 | 心配 | 自己批判 | ケーキ、チョコ等 甘いお菓子 |
血圧の上昇 | 抑うつ | 思考の散漫 | 甘い炭酸飲料 |
血流増加 | 筋肉、肺、脳へのイライラ(焦り) | 決断力の欠如 | タバコ |
呼吸が速く浅くなる | 恐怖感 | 自尊心の低下 | 紅茶/コーヒー |
抹消血管の収縮 | 不安感 | 記憶力の低下 | アルコール |
筋肉の緊張 | 神経過敏or無頓着 | 気分の過度な変化 | 薬物 |
白血球の減少 | 赤血球の増加、孤独感 | 集中力の低下 | ジャンクフード |
アドレナリン過多 | 怒りっぽくなる | 目的意識の喪失 | |
消化機能の低下 | 意見が聞けない | ||
肝臓内の血糖値上昇 |
脳に直接働きかけるアロマテラピーはストレス対策に最適◎
ここまで、ストレスがもたらす不調についての簡単なメカニズムや概要をお伝えしてきましたが、
現代社会に生きる中でストレスをゼロにすることは不可能です。
しかしながら、ストレスを少しでも遠ざける工夫をしたり、ストレスを減らしたりするだけでも心身の健康維持にはつながりますし、
アロマテラピーがストレス対策の大きな一助となることも知ってほしいのです。
ストレスには、
- 物理的ストレッサー(暑さや寒さ、騒音や振動など)
- 化学的ストレッサー(公害物質、薬物、栄養や酸素欠乏or過剰など)
- 生物的ストレッサー(病原菌などの病気や睡眠不足など )
- 心理・社会的ストレッサー(仕事や家庭など、人間関係における問題からくる精神的苦痛)
と、ストレスの引き金となる原因は様々ありますが、外的刺激(ストレス)によって出る身体の反応はこれまでお伝えした通りで、
人間の本能に備わった防衛反応からくるものです。
そのため、どのようなストレスであれど、脳の視床下部に働きかけて自律神経や内分泌系を調整し安定させることはストレス対策につながっていきます。
自律神経や内分泌系をコントロールしているのが視床下部なので、その視床下部に大きく影響を与えるアロマテラピーはストレス対策にメチャクチャ有効。
ストレス対策にアロマ精油が有効な理由
アロマが心と身体に対して有効に働きかける仕組みは別の記事でもお伝えしたように、
精油の香り分子が鼻孔から入って鼻の奥にある鼻粘膜から吸収され、脳の視床下部に対してダイレクトに働きかけるのですが、
精油に含まれる成分には交感神経の興奮をおさえ、副交感神経優位の穏やかな心に調整する作用や、気分をリフレッシュさせる作用をもつものが多数あります。
例えば
「ラベンダー」に含まれる酢酸リナリルの成分がイライラした気分を抑えたり、
「オレンジスイート」に含まれるリモネンの成分が不安を和らげたり、
「バニラ」に含まれるバニリンの成分が安心感や幸福感をもたらしたりと、
精油に含まれる特徴成分によって様々な効果を得ることができます。
これらの精油に含まれるさまさまな薬効成分が脳の視床下部に働きかけることで自律神経を調整し、内分泌系のバランスを整え、
内臓の働きが回復すると共にイライラが治まったり、落ち込みから抜け出すことができるようになります。
わたしもアロマテラピーによって心を救われた経験が何度もあります。
ストレスの症状一覧/状態に合わせてアロマ精油を選ぶことで対策できる
ストレスからくる不調と一言でいえど、感じかたや症状の出方は人それぞれ。
「気分的」な症状では、
- 憂うつで気分が落ち込む
- イライラして怒りっぽくなる
- やる気が出ない
- 集中力低下
- 注意力の散漫
- 興味、関心の低下
- 理由もなく悲しくなる
- 物ごとを悪い方へ悪い方へと考え不安になる
- 何も考えられない
- 自分を責め、無価値だと感じる
- 消えてしまいたいと思う
そして、「身体的」な症状としては、
- 眠れない
- 寝てもスッキリしない
- 倦怠感
- 食欲不振
- 暴飲暴食
- 頭痛
- めまい
- 耳鳴り
- 肩こり
- 腰痛
- 動悸
- 息切れ
- 腹痛
- 下痢
- 便秘
などが挙げられるため、ストレスによって感じてしまう気分や症状に合わせて精油を選び使用していくことで、ストレスからくる不調を軽減し緩和させることができます。
肩こりにオススメの精油やアロマレシピについては下記の記事を参考にしてください。
ストレスの感情(気分)別に合わせたオススメのアロマ精油一覧
ここでは、気分的に感じるストレス状態に合わせたオススメの精油を一覧紹介していきます。
ご自身の感じる気分や気持ちに合わせて、下記の表に記載している精油を使用してストレス対策に役立ててください。
ブレンドして混ぜても、そのまま1種類だけ使ってもいいですし、ご自身の感情や状態に合わせて取り入れてみてください。
恐怖 | サンダルウッド、フランキンセンス、カルダモン |
罪悪感 | ジャスミン、イランイラン、ヤロウ |
怒り | リンデンブロッサム、ローズ、ジャーマンカモミール |
イライラ | イランイラン、ラベンダー、クラリセージ、ジャーマンカモミール |
抑うつ | ベルガモット、マンダリン、カルダモン、ライム |
躁鬱 | ゼラニウム、ローズ、フランキンセンス |
不安 | ラベンダー、カモミールローマン、ベチバー |
悲観 | ベンゾイン、ローズ、スイートマジョラム |
混乱 | バジル、ペパーミント、ローズマリー、ラベンダー |
無気力 | ブラックペッパー、ジンジャー、カルダモン、ペパーミント、レモン |
情緒的衰弱 | ローズ、サンダルウッド、ラベンダー、クラリセージ |
トラウマ | ネロリ、フランキンセンス、シダーウッド |
後悔 | ローズ、パイン、パチュリ |
孤独感 | ベンゾイン、ローズ、リンデンブロッサム |
拒絶 | ジャスミン、グレープフルーツ、ブラックペッパー |
論争的 | スイートマジョラム、ラベンダー、サンダルウッド、ジャスミン |
パニック発作 | イランイラン、ネロリ、フランキンセンス |
抑圧 | ジャスミン、パチュリ、カルダモン |
疑心暗鬼 | バジル、フランキンセンス、グレープフルーツ |
優柔不断 | レモン、グレープフルーツ、ローズ |
自己評価が 低い | ベルガモット、ゼラニウム、ネロリ、フランキンセンス、イランイラン |
手放す | ヤロウ、パチュリ、ローズ |
自信 | ベルガモット、ゼラニウム、フランキンセンス、サンダルウッド、イランイラン |
肉体的 ストレス | ラベンダー、カモミールローマン、スイートマジョラム、ゼラニウム |
仕事の プレッシャー | ネロリ、バジル、ローズマリー |
人間も大自然のなかの一部で、天気と同じように心模様にも晴れる日があれば曇る日もあります。
心の働きがもたらすさまざまな不調に対してアロマテラピー有効に働きかけるので、ぜひアロマテラピーを上手く活用して日々の健康増進に役立ててください。
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